国試の良問①(第65回診療放射線技師国家試験午前12)
こんにちは!
今回は国試の難問シリーズに引き続き、国試の良問を紹介したいと思います。
①とつけていますが、連続して出せるかどうかは分かりません笑
少し偉そうになってしまいますが、良い問題だなと思う問題があれば出したいと思います。
さて、国試の良問というタイトルですが、この良問の基準としては
①難しすぎない(初見でもなんとか解ける)
②1問で複数のことを学べる
ような問題を選んでいます。
今回は診療画像機器学のX線高電圧発生装置に関する問題です。
機器学は医用工学や画像工学に負けず劣らず苦手という人が多いように思います。
教科書も少し難しいことが多く、理解が難しかったりするのですが、段階を踏んでいけばきっと理解できると思うので頑張りましょう!
必要な知識
まずは毎度のごとく、必要となる基礎知識から確認していきます。
今回必要となるのは、
1.変圧
2.管電圧、管電流
に関する知識です。
それぞれ見ていきましょう。
1.変圧に関する知識
X線を発生させるためには、診断レベルでは数十kV程度の高電圧が必要となりますよね。
普段我々が使用している電源は100Vとか200Vといった比較的低い電圧です(これでも十分危険ですが)。
大きな工場など電力を大量に消費するような施設にはもう少し高い電圧で送電されますが、それでも数kV程度です。
つまり、病院などで数十kVもの高電圧を発生させるためには変圧器というものが必要になります。
変圧器の細かい仕組みから理解していると長くなるので省略しますが、気になる方は是非調べてみてください。
今回覚えてほしいのは、以下の式です。
Vは電圧、Iは電流、Nはコイルの巻き数、aは変圧比です。
原理はともかく覚えている方も多いと思います。
この問題では巻き数と変圧比は関係しませんが、変圧比は少し厄介なことがあります。
一般的に送電などで変圧器が使われる場合、末端に行くほど降圧していくことから、変圧比が1より大きくなるように、
とされていることが多いのですが、X線高電圧装置では昇圧を行うので、
と書かれている場合が多いです。
今年の国試でも出題された等価回路などでは後者で定義されていると思うので、注意しましょう。
ちょっと話がそれました笑
本題に戻りましょう。
2.管電圧、管電流に関する知識
先程までの電圧・電流はあくまで一次電圧(電流)・二次電圧(電流)です。
これらは多くの場合、「実効値」で示されています。
これに対して、管電圧は「最大値」、管電流は「平均値」が用いられています。
電圧・電流の最大値、実効値、平均値には以下の関係がありましたよね。
実効値
平均値
管電圧・管電流を扱う場合はこのことに注意する必要があります。
基礎知識の確認が済んだところで、問題を解いていきましょう!
問題演習
問題は第65回午前12です。
(第65回診療放射線技師国家試験より引用)
条件として一次電圧と管電圧、管電流が与えられており、一次電流を求めるという問題です。
まずは一次電圧と管電圧から変圧比を求めましょう。
先程説明した通り、一次電圧は実効値、管電圧は最大値なので実効値にそろえます。
よって変圧比は、
となります。
次に管電流(平均値)を二次電流(実効値)に変換します。
先程の関係より、
となります。
これで準備が整いました。
一次電流を求めましょう!
より、
と求められます。
変圧についてだけでなく、管電流や管電圧についても学ぶことができるいい問題だと思います!
ぜひ一度自分で解いてみてください。
国試の良問②がいつになるかはわかりませんが、、、
ではまた!