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「刺激反応マトリクス」を理解する

こんにちは!

今回は刺激反応マトリクスについてまとめていきます!

少々ややこしい部分もあるので、段階を踏んで理解していきましょう。

流れとしては、

という感じで進めていきます。

では、頑張りましょう!

刺激反応マトリクスとは

まず、刺激反応マトリクスとは以下のようなものです。

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最も想像しやすい例としては、癌に罹患している人と罹患していない人それぞれのCT画像を医師が見て、癌と診断する(陽性)か、正常(陰性)と診断するかといったところでしょうか。

この場合、

・癌に罹患しており、正しく陽性と判断される
陽性(TP)

・癌に罹患しているのに、間違って陰性と判断される
陰性(FN)

・癌に罹患しておらず、正しく陰性と判断される
陰性(TN)

・癌に罹患していないのに、間違って陽性と判断される
陽性(FP)

という感じになります。

表にはそれぞれの人数などが入ります。

次は、この表から求められる感度や特異度などについて理解していきましょう。

感度、特異度とは

刺激反応マトリクスから求められるものとして、

感度(真陽性率)

特異度(真陰性率)

偽陽性

偽陰性

があります。

言葉だけを聞くと全体数に対する真陽性・偽陽性・真陰性・偽陰性それぞれの確率かな?って思いますよね。

ここが少し曲者です。

これらは刺激(信号・病変など)を基準に考えなければいけません。

感度(真陽性率)、偽陰性率は刺激があることを条件とした時の陽性・陰性の確率であり、

特異度(真陰性率)、偽陽性率は刺激がないことを条件とした時の陽性・陰性の確率になります。

図で示すとこんな感じですね。

f:id:Yuru-yuru:20200204112943j:plain

いわゆる条件付き確率というものです。

後ほど必要になるので、条件付き確率について少し復習すると、

事象A、Bそれぞれの確率をP(A)、P(B)、また事象AとBが同時に起きる確率をP(A∩B)とすると、事象Aが起きたとき(条件)に事象Bも起きる確率P(B|A)は、

P(B|A) = {\frac{P(A \cap B)}{P(A)}}

という形で求められます。

ちょっとわかりにくいと思うので少し練習してみましょう。

事象A:癌に罹患している

事象B:陽性と判断する

としたとき、感度(真陽性率)はどのような式で表されるでしょうか?





正解は先程の式と同じ式になります。

どうでしょう、少々ややこしいですが理解できたでしょうか?

それでは、問題演習に行きましょう。

国試問題演習

今回は第70回午前94を扱います。

(第70回診療放射線技師国家試験より引用)

こういったタイプの問題を解くとき、どの情報をどのように使えばよいか分からないという方が多いと思います。

なので、意味を考えながら解くというより完全にシステム化して数学のように解き方を理解する方が重要かと思います。

では、どのように解くか説明していきます。

まずは、先程と同じように事象Aと事象Bを設定します。

事象A:癌に罹患している

事象B:陽性と判断される

そして、それぞれの確率をP(A)、P(B)また、事象Aが起こるかつ事象Bが起こる確率をP(A∩B)とします。

では、問題文から情報を読み取り、整理していきましょう。

①真陽性率が98%

これは先程学習し通り、

P(B|A) = {\frac{P(A \cap B)}{P(A)}} = 0.98

偽陽性率が5%

偽陽性率なので、癌に罹患していないという条件のもとで、間違って陽性と判断される確率です。よって、

P(B| \overline{A}) = {\frac{P(\overline{A} \cap B)}{P(\overline{A})}} = 0.05

③癌の一般的な罹患率は1%

癌の罹患率は事象Aが起こる確率とも言えるので、

P(A) = 0.01

さて、状況が整理できてきました。


では次に、最終的に求めるものは何でしょうか?

問題文では

「ある人がこの画像検査を受けて陽性と判断されたとき、実際に癌に罹患している確率」と書かれているのでこれを式として示します。

この場合、

「陽性と判断されたとき」を条件としたときの癌に罹患している確率なので

P(A|B) = {\frac{P(A \cap B)}{P(B)}}

となります。

注意しなくてはならないのは、分子がP(A)ではなくP(A∩B)になるところですね。

ここまで来ればあとはP(B)とP(A∩B)をどのように求めるかです。

P(A∩B)の方が簡単なのでP(A∩B)から考えます。

先ほどまとめた分かっている情報から求められそうですね。

①の式より

P(A \cap B) = P(A) \times P(B|A)

となるためそれぞれ代入すると

P(A \cap B) = 0.01 \times 0.98

と求められます。

これはベイズの定理と呼ばれるものですが、なんてことないただの式変形ですよね。

では、次にP(B)を求めます。これが少し厄介なのはP(B)が

癌に罹患しており、陽性と判断する確率P(A∩B)

癌に罹患しておらず、陽性と判断する確率P(Ā∩B)

の2つの確率の和となることです。

ここさえ分かればP(Ā∩B)も同様に②の式から

P(\overline{A} \cap B) = P({\overline{A}}) \times P(B| \overline{A})

となるため、それぞれ代入すると

P(\overline{A} \cap B) = (1-0.01) \times 0.05 = 0.99 \times 0.05

と求められます。

最終的に求める確率P(A|B)は

P(A|B) = {\frac{P(A \cap B)}{P(A \cap B) + P(\overline{A} \cap B)}}

     = {\frac{0.01 \times 0.98}{0.01 \times 0.98 + 0.99 \times 0.05}}

     = {\frac{0.0098}{0.0593}}

     \simeq 0.17

となり、正解は2になります。

少しごちゃごちゃしていますが、さほど難しい計算はしていません。

一度自分で一から解いてみれば理解が深まると思います。

何か誤りなどありましたら、優しくご指摘ください。

ではまた!