医学物理士認定試験合格体験記 Part1
こんにちは!お久しぶりです!
長らく更新が途絶えていましたが、いろいろと落ち着いたので久々のブログです笑
この度、医学物理士認定試験に無事合格したので、合格体験記を残しておきたいと思います。
私自身はスタンダードな経路ではないと思うので、参考になるかはビミョーですが良かったら読んでみてください。
1.医学物理士認定試験の概要
医学物理士認定試験の詳細については、医学物理士認定機構のホームページを参照していただければと思います。
試験内容を簡単にまとめると、
(1)多肢選択式 物理工学系
(2)多肢選択式 医学生物系
(3)記述式 物理工学系
の3つがあります。
合格基準は公開されていませんが、合格率が毎年約30%で変動がほとんどないので、上位3割が合格とされているようです。
色々と見た感じでは、多肢選択式と記述式それぞれ7割以上取れていれば十分合格できるのではないかと予想されます。
あくまで参考程度ですが、私自身は手応え的に7〜8割は取れたのではないかと思っています。
勉強の進め方を紹介する前にまずは、事前に必要な準備を確認していきましょう。
2.事前準備
医学物理士認定試験にはそこそこの受験資格が必要になります。
現在、基本的には以下の受験資格が課されています。
日本医学物理学会の正会員で、次の各号のいずれかを満たす者に受験資格を与える。
(1) 機構認定の医学物理教育コースに 1 年以上在籍または修了した者
(2) 理工学系修士以上の学位を有し(取得見込みを含む)、医学物理士認定制度施行細則(以下、「細則」という)に定める業績評価点 5 単位以上を有する者
(3) 放射線技術系修士以上の学位を有し(取得見込みを含む)、細則に定める業績評価点 5 単位以上を有する者
(4) 医学系研究科に設置された医学物理に関する課程の修士以上の学位を有し(取得見込みを含む)、細則に定める業績評価点 5 単位以上を有する者
(5) 学歴によらず医学物理の発展に寄与したと特に認められる者
また、特例措置として以下の受験資格も認められています。
(1) 平成 24 年度までに理工学系学士の学位を取得し、医学における経験年数 3 年以上の者
(2) 平成 24 年度までに放射線技術系学士の学位を取得し、医学における経験年数 2 年以上の者
(3) 平成 22 年度までに診療放射線技師免許を取得し、医学における経験年数 5 年以上の者
(4) 平成 22 年度までに、医師または歯科医師以外で医学または歯学博士の学位を取得し、医学における経験年数 1 年以上の者
実際のところは分かりませんが、おそらく受験資格の(1)〜(4)および特例措置の(2)あたりの方が多いのではないかと思います。
私自身は認定コースではない放射線技術系の大学院に所属しており、受験資格としては(3)で出願しました。
このため、準備が必要となったのは、
①日本医学物理学会の正会員
②業務評価点5点
の2つです。
それぞれ説明していきます。
①日本医学物理学会の正会員
まず、受験時に日本医学物理学会の正会員である必要があります。
注意が必要なのは“正会員”という点です。
大学院生は学生会員または未入会の方が多いと思うので、学生会員の方は正会員への移行、未入会の方は正会員の申請が必要となります。
②業務評価点5点
受験に必要な業務評価点については医学物理士認定試験施行規則において、以下のように定められています。
規程第 9 条に定める業績評価点は、前々年度の 4 月 1 日から受験年度の 9 月 30 日まで の期間の合計とする。
前項の業績評価点は、別表のカテゴリーIIおよびIIIの項目について加算できるものとする。
受験年度の前々年度4月1日から受験年度の9月30日までの約2年半の間に業務評価点5点を取得する必要があります。
対象となる業務評価点はカテゴリーII(医学物理士業務に関する講習会等への参加)、カテゴリーIII(医学物理学に関する学術大会等への参加、医学物理学に関する学術論文・著書)です。
詳細は医学物理士認定試験施行規則を参照してください。
試験対策も含めてミニマム講習会を受講される方が多いと思いますが、私は医学物理学会の教育セミナーを受講しました。
詳しくは後述しますが、自分の興味と必要なポイント、かかるお金を考慮して選択しました。
比較的受験申し込み直前まで対応可能だとは思いますが、出来るだけ早めに準備しておくことをお勧めします。
おまけ:学生には重要なおカネの話
医学物理士認定試験の受験にはなかなかのお金がかかります。
最低限必要な費用は以下の通りです。
1)日本医学物理学会正会員
入会費:4,000円
年会費:10,000円
計:14,000円
2)受験料
20,000円
3)業務評価点
カテゴリーII
5,000〜20,000円
カテゴリーIII
学会によって異なる
総計:40,000〜54,000円
カテゴリーIIについては、おそらく最も費用がかからないもので5,000〜6,000円(非会員)程度だと思います。日本医学物理学会の学生会員であれば1,000円のものもありますが、学生会員の年会費が4,000円なので結果的に同程度の費用と考えられます。
私は偶然、医学物理学会の教育公演セミナーが面白そうな内容だったので受講しましたが、特になければミニマム講習会を受講しようと考えていました。
ミニマム講習会は認定試験の問題集(解答付き、解説なし)込みの講習会であり、模擬試験なども行われるので、認定試験対策として受講される方も多いと思います。
ただし、受講料が物理工学系または医学生物系の片方で20,000円かかるのでなかなかの出費ですよね。
また、医学物理士認定試験記述式対策講習会もありますが、この講習会には業務評価点が割り振られていないので注意しましょう。
こういったセミナー、講習会などは自分の興味に沿って受講することが望ましいと思いますが、学生にとってはそれなりの出費になると思うので、計画的に業務評価点を取得しておきましょう。
3.勉強スケジュール
さて、事前準備を整理したところで勉強の進め方について書きたいと思います。
各科目、形式ごとの詳細については次の記事で書こうと思っているので、ここでは簡単なスケジュールのみ示します。
受験までにやったこと
試験対策としては
①多肢選択式(物理工学系・医学生物系)の解答・解説作成
②医学物理学教科書シリーズの通読
を行いました。
① 多肢選択式の解答・解説作成
医学物理士認定試験は解答が公表されておらず、もちろん解説付きの問題集などもないため解説もありません。
このため自力で解答・解説を作成しました。
解答・解説を作成する過程で問題に関する周辺知識もつけることができるので、非常に有用だったと思います。
しかしながら、なかなかの時間を必要とするので、社会人の方や研究が忙しくて手が回らない方は群馬大学の試験対策サイトをお勧めします。
まれにバグや解答の間違いが見られますが、解答と簡単な解説がついているので、スキマ時間を利用して対策が可能です。
②医学物理学教科書シリーズの通読
医学物理学教科書シリーズは日本医学物理学会から出版されている教科書であり、医学物理士認定試験対策に非常に有用です。
現在、以下の7冊が出版されています。
・放射線物理学
・放射線診断物理学
・核医学物理学
・放射線治療物理学
・放射線計測学
・画像・情報処理
・医療放射線防護学
このシリーズは基本的に記述式対策として使用したので、記述式の科目のみ通読しました。
それ以外の教科書についても、先述した解答・解説作成のために参照しました。
科目にもよりますが、ここ数年は記述式試験の出題内容はこの教科書からのものが多いため、細かく覚えていなくても一度通読しておく価値はあると思います。
実際に今年の試験においても教科書を読んでいて問題に出来そうだなと思っていたところが出題されていました。
具体的なスケジュール
では、具体的なスケジュールを示します。
2020年
4月〜6月 多肢選択式解答作成
7月〜1月 ほとんど進まず😱
2021年
2月〜3月 多肢選択式解答作成
4月〜5月 医学物理学教科書通読
6月〜7月 就活など
8月 医学物理学教科書通読
9月 多肢選択式解き直し、記述式
元々、医学物理士を受けようと考えたのは大学院1年の始めです。
大学院入学早々コロナ禍に突入し、大学にも入れない期間がしばらくあったので、時間を無駄にしないように何か勉強しようと思い、勉強し始めました。
しかし、その後は研究やアルバイトなどでそれなりに忙しく、ほとんど進められませんでした。時間がなかったわけではなかったので、単に私の怠惰ですね笑
今年の2月あたりからはちょろちょろと時間をとって解答作成を進め、4月あたりには2010年〜2020年までの11年分の解答を完成しました。
これ以降は医学物理学教科書シリーズの通読に費やしました。途中就職活動も挟んだので、空いた時間を使って少しずつ進めていきました。
9月上旬あたりでやっと一通り読み終えられたので、そこからは多肢選択式の解き直しや記述式の過去問を解いたりしました。
記述式に関しては過去問がそのまま出題されることは少ないので、参考程度にかいつまんで解きました。
4.総括
多肢選択式に関しては、2020年度の問題を何も見ずに解いて物理工学系および医学生物系で7割以上取れていたので大丈夫かなと思っていましたが、記述式に関しては運要素が強めなので少し不安でした。
実際の試験では3問中2問完答、1問は小問2つでミスという感じで、それなりに余裕をもって合格できたのではないかと思います。
医学物理士は主に放射線治療系の資格として認識されていると思いますが、問題は治療に限らず幅広く出題されます。
このため、他の認定資格とは異なり、実際の業務経験がそこまで関わらない資格と言えます。
確保できる勉強時間が多い学生が有利になると思うので、受ける気があるなら学生のうちに合格することをお勧めします。
次回は各形式、各科目について少し詳しく書いていきたいと思います!
ではまた!