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最速?!第72回国試問題解説②(第72回診療放射線技師国家試験午前77)

こんにちは!

今回は医用工学コンデンサキャパシタに関する問題を解いていきます。

問題は前回に引き続き最新の第72回午前77です。

77 図のように極板面積Aの平行板キャパシタコンデンサ)の極板距離のうちd_1が比誘電率\epsilon_1、残りのd_2が比誘電率\epsilon_2の誘電体で満たされている。 このキャパシタの電気容量(静電容量)Cを表す式はどれか。 ただし、電気定数(真空の誘電率)は\epsilon_0とする。


        f:id:Yuru-yuru:20200329004925j:plain:w300


  1.{\frac{\epsilon_1 \epsilon_2 \epsilon_0 A}{d_1 + d_2}}


  2.{\frac{d_1 + d_2}{\epsilon_1 \epsilon_2 \epsilon_0 A}}


  3.{\frac{\epsilon_0 A}{\epsilon_1 / d_1 + \epsilon_2 / d_2}}


  4.{\frac{\epsilon_0 A}{d_1 / \epsilon_1 + d_2 / \epsilon_2}}


   5.{\frac{\epsilon_1 / d_1 + \epsilon_2 / d_2}{\epsilon_0 A}}


(第72回診療放射線技師国家試験より引用)

高校で物理を履修していた人にとってはそんなに難問ではないと思うのですが、物理を履修しておらず、過去問だけで勉強していた方は今までに出題があまりなく、少し困ったのではないでしょうか。

なんとなく覚えていても、式変形が少しややこしいので意外と難しかったと思います。

今回は基本的な内容を確認してから、問題を解いていきます。

ではまず、コンデンサについて基本的な内容を確認していきます。


基礎の確認

コンデンサ充電・放電に用いられるデバイスであることは何となく知っているという方は多いと思います。

よく使う公式として、

 Q = CV

 Q:電荷量、C:静電容量(キャパシタンス)、V:電圧、電位差

があります。

過去の記事でも何度か登場しているので、気になる方は見てください。

今回はこの中から静電容量Cについてまとめていきます。


静電容量(キャパシタンス)

静電容量はコンデンサの性能を表す指標の一つですが、先程の式を見てわかるようにコンデンサがかけられた電圧に対してどのくらい電荷を蓄えられるかを表す量です。

名前のまんまですね。

式としては以下のように表されます。

    f:id:Yuru-yuru:20200329005233j:plain:w200

 C = \epsilon {\frac{S}{d}}

 ε:誘電率、d:極板間距離、S:極板面積

この式にそれぞれの値を代入すれば静電容量が求まるわけですが、少し注意が必要になるのは誘電率です。


誘電率

まず、極板間が真空である場合を基準として真空の誘電率\epsilon_0を用いて、

 C = \epsilon_0 {\frac{S}{d}}

と表せます。

極板間が誘電体で満たされている場合、真空の誘電率に対する相対的な値として誘電率\epsilon_rが与えられます。

相対的な値なので、極板に挟まれた空間の誘電率\epsilonは、

 \epsilon = \epsilon_0 \epsilon_r

で表すことができます。

誘電率をそのまま誘電率として使用しないように注意しましょう!


合成静電容量

続いて静電容量の合成について確認します。

コンデンサの接続は直列並列の2パータンがあります。

f:id:Yuru-yuru:20200329005433j:plain:w400

直列の場合、合成静電容量Cは以下の式で表されます。

 {\frac{1}{C}} = {\frac{1}{C_1}} + {\frac{1}{C_2}}

少し変形すると、

 C = {\frac{C_1 C_2}{C_1 + C_2}}

とも表せます。

これに対して、並列の場合、合成静電容量Cは以下の式で表されます。

 C = C_1 + C_2

これもちゃんと計算すれば求められるのですが、私は抵抗の反対と覚えてしまっています。

また、この法則はコンデンサの数が増えても成り立ちます。

だいたい基礎の確認はこの程度で大丈夫だと思います。

では、問題を解いていきましょう!


問題の解説

まずは、静電容量の合成からやっていきます。

極板間が異なる誘電率をもつ誘電体で満たされている場合、以下のように2つのコンデンサに分けることができます。

f:id:Yuru-yuru:20200329005547j:plain:w500

コンデンサの静電容量をC_1C_2とすると、

 C_1 = \epsilon_0 \epsilon_1 {\frac{A}{d_1}}

 C_2 = \epsilon_0 \epsilon_2 {\frac{A}{d_2}}

と表せますね。

先程も言いましたが、誘電率をそのまま誘電率に使わないように注意しましょう!

では、この2つのコンデンサの静電容量を合成します。

今回コンデンサ直列に接続されているので、合成静電容量は

 C = {\frac{C_1 C_2}{C_1 + C_2}}

であり、先程の式を代入すると、

 C = {\frac{\epsilon_0 \epsilon_1 {\frac{A}{d_1}} \cdot \epsilon_0 \epsilon_2 {\frac{A}{d_2}}}{\epsilon_0 \epsilon_1 {\frac{A}{d_1}} + \epsilon_0 \epsilon_2 {\frac{A}{d_2}}}}

  = {\frac{\epsilon_0 ^2 A ^2 {\frac{\epsilon_1 \epsilon_2}{d_1 d_2}}}{\epsilon_0 A \left({\frac{\epsilon_1}{d_1}} + {\frac{\epsilon_2}{d_2}}\right)}}

  C = {\frac{{\frac{\epsilon_0 \epsilon_1 \epsilon_2 A}{d_1 d_2}}}{{\frac{\epsilon_1}{d_1}} + {\frac{\epsilon_2}{d_2}}}}

ここから選択肢の形にたどり着くのが少々ややこしいです。

分母分子に{\frac{d_1 d_2}{\epsilon_1 \epsilon_2}}を乗じると、

 C = {\frac{{\frac{\epsilon_0 \epsilon_1 \epsilon_2 A}{d_1 d_2}} \times {\frac{d_1 d_2}{\epsilon_1 \epsilon_2}}}{\left({\frac{\epsilon_1}{d_1}} + {\frac{\epsilon_2}{d_2}}\right) \times {\frac{d_1 d_2}{\epsilon_1 \epsilon_2}}}}

  = {\frac{\epsilon_0 A}{{\frac{d_1}{\epsilon_1}} + {\frac{d_2}{\epsilon_2}}}}

となり、解答はになります。

どうでしょうか?

最後に謎の式変形が入っているので、なかなかややこしい感じになってしまいましたね。

少し見づらいかもしれないので、一度自分で計算してみることをオススメします笑

何か誤りなどありましたら教えてください。

ではまた!