医用工学特講 第5回:コンデンサの過渡現象(2)
こんにちは!
今回は前回の予告通り、時間変化を考慮したコンデンサの過渡現象を扱っていきます。
前回と同様、国試の過去問をベースに理解していきましょう。
問題は第71回午後76を解いていきます。
どうでしょうか?
国試間近の学生や電気工学のテストを終えたばかりの学生ならば公式が思い浮かぶかもしれませんが、普通はお手上げ状態になるかと思います。
もちろん公式を覚えるのもいいですが、忘れたときに思い出したり、少し回路の形が変わった時に応用したりするには式の導出から理解するのも一つの手です。
(ただ、公式の導出を理解するには高校数学と簡単な微分方程式の知識が必要なので、そこが全く分からない方は諦めて覚えるの方がいいかと思います。)
少々ややこしいですが頑張って理解しましょう。
基礎知識の確認
今回の問題は前回と違い、十分な時間が経ったなどの仮定がありません。
つまり、回路に流れる電流の時間変化を考えなければいけません!
それだけでなくある程度の高校物理の知識も必要になるので、基礎知識から確認しましょう。
キルヒホッフの第二法則(回路方程式)
まずはキルヒホッフの第二法則から復習します。
キルヒホッフの第二法則は、
電気回路に含まれる任意の閉回路の電位差の和は0になる
などと定義されています。
そんなに難しいことは言っていないので心配しないで下さい!
これは回路のある地点からスタートして閉じた回路をたどっていき、スタート地点に戻ってきたところど元の電位に戻ることを示しています。
簡単な例を示します。
この回路において、抵抗における電圧降下Vは、
となり、この回路を一周したときの電位の差は0になりますよね。
これは複数の抵抗があったり、コンデンサが入っていたりしても同じように考えられます。
よろしいですか?
では、コンデンサについても復習します。
コンデンサの性質
これまで何度か説明してきたコンデンサの性質と同じものです。
Q:電荷[C]、C:静電容量[F]、V:電位差[V]
第2回でも説明した通り、電荷Qは電流iの時間積分と等しいのでコンデンサの電位差Vは、
となります。
(よくわからない人は第2回の記事をご覧ください。)
では、公式の導出に移りましょう。
公式の導出
まず、一般化するために電源電圧をE[V]、電流をi[A]、抵抗をR[Ω]としたときの回路を考えます。
キルヒホッフの第2法則より、
となります。
目的は電流iを求めることなので、何とか積分を消したいですよね。
となります。
Eの微分が0になるのは電源電圧が定数だからですね。
微分方程式の解き方が分からない人は少し置いてけぼりになるかもしれませんが、めげずに頑張りましょう!
先程の式より、
両辺を積分すると、
(は積分定数)
とおくと、
もう疲れてきたと思いますが、もう少し変形が必要です。頑張りましょう。
スイッチを入れた瞬間、すなわちのときコンデンサは短絡(ただの導線)とみなせるので、
となり、
と求められます。
したがって、最終的に
と求めることができます。
これが最初に言っていた公式ですね。
今回のような単純なCR回路ではこのような式になります。
ここまで読んでくれた人がどの程度いるかわかりませんが(笑)、最後に値を代入して問題を解いていきましょう。
問題を解く
先程の式より
両辺に自然対数を取ると、
となり、C=2 µFと求まりました。
ここまで書いてなんですが、覚える方が楽ですかね笑
実際に解くときに公式の導出をするかはともかく、こんな感じで導出されているんだーぐらいは理解していると役立つときがあるかも?
とりあえず今回で医用工学特講の連続投稿は終わりますが、今後不定期に更新していきます。
何かやってほしい内容があればコメントなどよろしくお願いします!
ではまた!