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医用工学特講 第4回:コンデンサの過渡現象(1)

こんにちは!

今回はコンデンサの過渡現象について国試の問題を解きながら理解していきます。

高校物理を履修していない人はコンデンサの過渡現象と聞いても「???」という感じかもしれません。

まずは、コンデンサの基本的な性質から確認していきましょう。


コンデンサの性質

コンデンサは下図に示したように2枚の極板を向かい合わせたものです。

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この2枚の極板に電源をつなぎ、電流を流すことで電荷を蓄えることができます。

この性質を表した式として、

 Q = CV

 Q電荷[C]、C:静電容量[F]、V:電位差[V]

蓄えられた電荷Q[C]によってコンデンサの極板間にV[V]の電位差が生じるということですね。

この電荷を蓄える過程が充電です。

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十分な時間が経過すると、極板間の電位差が電源電圧と等しくなり電流は流れなくなります。

また、コンデンサに充電された電荷はずっとたまり続けるわけでなく、例えば以下のような回路に接続すると電荷を放出します。

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この電荷を放出する過程が放電です。

これも充電と同様、十分な時間が経過すると電荷を放出しきってしまうので回路に電流は流れなくなります。

コンデンサの簡単な挙動としてはこんなところです。

では、実際に問題を解いていきましょう。


問題演習①

まずは、第68回午後76から解いていきます。

(第68回診療放射線技師国家試験より引用)

この問題では「時間が無限に経過する間」と書かれていますが、これは「十分な時間が経過した」と同じ意味です。

つまり、放電しきったときのことを答えればよいということですね。

静電容量が100 µFのコンデンサCは4.8 Vに充電されているので、このときコンデンサに蓄えられた電荷は先ほどの式より、

 Q = 100 \times 10 ^{-6} \times 4.8 = 4.8 \times 10 ^{-4}[C]

と求めることができます。

時間が無限に経過する間にこの電荷全て放出されるので、抵抗Rを流れる電荷はこれと等しくなります。

しかし、問題では抵抗Rを流れる電子数[個]を聞かれているので、電子1個あたりの電荷(素電荷e = 1.6 \times 10 ^{-19}[C]で割ってあげると、

 {\frac{Q}{e}} = {\frac{4.8 \times 10 ^{-4}}{1.6 \times 10 ^{-19}}} = 3.0 \times 10 ^{15}[個]

となるので、正解はですね。

どうでしょうか?

結構簡単だったのではないでしょうか。

では、理解を深めるためにもう少し問題を解いてみましょう。


問題演習②

次は第59回午後51を解いていきます。

(第59回診療放射線技師国家試験より引用)

この問題では特別書かれていませんが、十分な時間が経過したと仮定して良さそうです。

この回路では十分な時間が経過した後どうなるでしょうか?


先程の問題と違うのは電荷の逃げ場がないということです。

抵抗にコンデンサから電流が流れた場合は主にジュール熱としてエネルギーが放出されますが、今回はコンデンサからコンデンサに電流が流れ込むので少し状況が異なります。

電荷の逃げ場がないということは電荷量が保存されるということになります。

図で示すとこのような感じですね。

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では、この電荷量の保存から立式してみましょう。

接続前のコンデンサC_1の端子電圧をV_0、十分な時間が経過した後のコンデンサC_1の端子電圧をV_1とした場合、コンデンサC_2の端子電圧もV_1となります。

これより、

 Q_0 = C_1 V_0

 Q_1 = C_1 V_1

 Q_2 = C_2 V_2

となります。

接続前後で電荷量は保存されるので、

  Q_0 = Q_1 + Q_2

 C_1 V_0 = C_1 V_1 + C_2 V_1

   V_1 = {\frac{C_1 V_0}{C_1 + C_2}}

    = {\frac{2 \times 10 ^{-6} \times 100}{2 \times 10 ^{-6} + 3 \times 10 ^{-6}}}

    = {\frac{2 \times 10 ^{-4}}{5 \times 10 ^{-6}}}

    =40

と求めることができます。

1問目より少し難しかったですかね。


今回の問題はどちらも電荷の移動がなくなるまで時間が経ったあとについて問われていました。

コンデンサの過渡現象を扱った問題にはコンデンサの電圧や回路に流れる電流の時間的変化を問うものもあります。

次回はそういった時間変化を考慮する問題を解いていきます。

ではまた!