医用工学特講 第2回:オペアンプの解き方(2)
こんにちは!
前回に引き続きオペアンプの解き方についてまとめていきます。
今回はオペアンプの回路にコンデンサを含む場合の解き方を解説します。
前回の記事を読んだ前提で説明していくので、まだ読んでない方は一読することをおすすめします。
コンデンサの基本
コンデンサの働きについて簡単の説明します。
コンデンサは電流を流すことで内部に電荷を蓄えたり、逆に蓄えた電荷を放電したりするものです。
この性質を表した式として、
:電荷[C]、:静電容量[F]、:電位差[V]
蓄えられた電荷Q[C]によってコンデンサの極板間にV[V]の電位差が生じるということですね。
ここで前回の復習ですが、各点の電位を書き込んだ後、各抵抗に流れる電流を仮定しましたよね?
回路の計算を行う上で、この電流を基準に考えたいので上式を少し変形します。
電流I[A]は単位時間あたりの電荷量を示すので、電流が一定の場合は、
:時間[s]
と考えられるのですが、この電流が一定でない場合、電荷量は電流の瞬時値i(t)[A]の時間積分になります。
積分と聞いてイヤになる方もいるかもしれませんが、大したことありません。意味は同じです。
上の図に示した部分の面積が電荷量になります。
一定の場合は単純に掛け算で済む部分が少し複雑になるだけですね。
すなわち、電荷Qは
と表すことができます。
理解できたでしょうか?
では、コンデンサを含むオペアンプ回路の問題を解いていきます。
問題演習
今回は第71回午後78を取り扱います。
(第71回診療放射線技師国家試験より引用)
今回は解き方を理解することが目的なので先に答えを言いますが、この回路は微分回路です。
つまり、入力波形を微分したアが解答になります。
では、この回路が微分回路となることを示していきましょう。
基本的には前回と同じ手順で解いていきます。
一応復習しておくと、
(1)各点の電位を書き込む
(2)流れる電流Iを仮定し、式に示す
(3)電流から等式をつくる
(4)必要な値を代入し、求める値を計算する。
です。この手順に従って解いていきます。
まずは(1)です。
(1)各点の電位を書き込む
これは前回と完全に同じなので大丈夫ですね。
次は(2)です。
(2)流れる電流Iを仮定し、式に示す
電流を仮定するところまでは前回と同じですが、電流からの立式が異なります。
ここから少し難しくなるので気合を入れていきましょう!
具体的な値は最後に代入するとして、とりあえずコンデンサの静電容量をC[µF]、抵抗をR[kΩ]として考えていきます。
まずは、コンデンサからです。
より、
このままでは電流が式に出てこないので、先程の式変形を使います。
となります。
では、回路の値を使用していきます。
・・・ ①
このように立式できます。
次に、抵抗についてです。
これは前回と同じなので簡単ですね。
・・・ ②
となります。
続いて(3)に移ります。
(3)電流から等式をつくる
ここで少し問題が生じます。
前回と同様に電流が等しいことを利用して等式を立てたいのですが、①式は積分が含まれているのでもう少し変形が必要です。
これでできそうですね!
これより出力電圧は入力電圧を微分し、定数CRを乗じたものであることが分かります。
最後に値を代入して確かめてみましょう。
(4)必要な値を代入し、求める値を計算する
入力波形を微分するということは、入力波形の傾きを出力するということになります。
入力波形の傾きは1000、-1000を繰り返しているので、出力波形はー0.5、0.5と繰り返す矩形波になると考えられます。
解答のアの波形はこれと矛盾しません。
どうでしょうか?
読んだだけでは少し納得いかないかもしれないので、一度自分で一から解いてみるとよいです。
今回は微分回路を扱いましたが、積分回路もほとんど同じようにして求めることができます。
ぜひ、やってみてください!
次回はこの解き方が真価を発揮する少し複雑なオペアンプ回路を扱いたいと思います。
ではまた!